【2024年10月8日更新】

海外在住者・移住者の年金の受け取りの際によくある疑問

海外に在住されている方々の年金についてよくあるご質問についてお答えします。

Q.海外在住が長いため、日本での納付月数が少ないですが老齢年金を受給できますか?

A.たとえ1月しか納付月数がなかったとしても日本の年金を納付できる可能性はあります。日本の年金は現在、少なくとも10年分の年金(納付・免除)の期間が必要ですが、海外在住の方々には「海外在住者の合算対象期間」や「相手国期間」をこの10年分の期間に含めることができるからです。詳細は「海外在住者の日本の年金受給を可能にする合算対象期間(カラ期間)と居住国の年金期間との通算」のページをご覧ください。受給できる金額は実際に日本の年金を納付等されている期間に応じての金額となります。

Q.日本の老齢年金は何歳から受け取ることができますか?

A.老齢年金の受給は原則65歳から始まりますが、年齢と性別によって65歳までに特別支給の老齢厚生年金を受給できることがあります。また、繰上げ受給(受給開始年齢よりも早く受給すること)や繰り下げ受給(受給開始年齢よりも遅く受給すること)の選択肢もあります。

Q.日本の老齢年金は何年納付したら受け取ることができますか?

A.老齢年金を受給するための要件として、平成29年(2017年)までは25年以上納付等の月数が必要とされていましたが、制度の改正により現在では10年と大幅に期間要件が短縮され、それまで年金を受給できなかった多くの方々が新たに老齢年金を受け取ることが可能になりました。

 この改正により、今まで合算対象期間(カラ期間)を含めても25年の受給資格期間がなく受給ができなかった方でも10年の受給資格要件を満たすことができるようであれば、年金を受け取ることができるようになりました。

 この10年の受給資格要件には、納付月数だけではなく保険料の免除がされた期間(一部免除を受けている場合は免除されていない分を納付している必要があります。)や合算対象期間(カラ期間)が含まれます。合算対象期間についての詳細は対象ページをご覧ください。

 海外在住の方々はこの合算対象期間(カラ期間)を適切に手続きすることで、たとえ日本の年金を納付した期間が少なくても、受給資格を満たすことができるため、年金を受け取っていただけることが多いのです。

Q.社会保障協定を締結している国はすべて日本の年金との通算をおこなえますか?

A.社会保障協定を締結してる国すべてが年金を通算できるということではありません。日本と社会保障協定を締結している国のうち、英国、韓国、中国、イタリアは年金の通算ができません。

Q.海外に移住していても遺族年金や障害年金を受け取れますか?

A.受給要件にあえば海外に在住されていても受給できます。日本で受給されていたのを海外で移住後も引き続き受け取っていただくだけでなく、海外に在住されている間に障害を負われた、亡くなられた等でも受給可能です(在住されている国によって異なることがあります)。詳細やご不明な点や個別具体的なお話は当所や年金事務所へお尋ね下さい。

 ただし、「20歳前に初診日がある障害基礎年金」は日本国内に居住していることが要件となっていますので海外在住の方は受給出来ません。日本国内で受給されていた場合でも日本を出国される際に受給を停止する手続きが必要になります。

Q.老齢年金を受け取っていた者が亡くなった場合、遺族年金を受給できますか?

A.老齢年金は法律の改正により、10年間の納付・免除・合算対象期間があれば受給できるようになりましたが、遺族年金は先に述べました納付等の期間が25年ないと受給できません。したがいまして、老齢年金を受給できていた人が亡くなられた場合でも、ご遺族の方に遺族年金を受給していただけない場合もあります。ただ、遺族年金の受給要件には在職中死亡等その他の要件がありますので、その他の要件に該当すれば受給していただけます。個別の具体的なお話は当所、若しくは年金事務所にお尋ねください。

Q.海外移住を考えていますが、いままでどおり年金を受け取れますか?

A.受け取っていただけます(20歳前に初診日のある障害基礎年金以外)。お手続きいただくことによって移住される先の国のご指定いただいた金融機関に振込することができるようになります。通貨の指定はできません(居住国によって決められています)。また、日本に残しておられる口座があるのであればそちらへの入金も可能です。ただし、受給されている年金が20歳前に初診日のある障害基礎年金だった場合は海外移住される際にお届いただき受給を停止していただく必要があります。

Q.年金加入記録の確認や受給申請にはどのくらいの時間がかかりますか?

A.年金事務所の窓口で年金記録を確認した際、年金の納付記録がご自身の記憶通りでなかった場合などは、「記録照会申出書」を提出することによって、日本年金機構が管理しているの古い年金記録を再度調べ直すことを依頼することができます。これは通常1カ月半ほどで調査が終わります。通知の送付は郵送で行われますが、到着までの日数は居住国の郵便の状況によります。当所でご依頼いただいた場合は郵送でご自宅に届くよりも先に結果をお知らせすることが可能です。

年金加入記録の確認と老齢年金の受給申請の場合は、先の記録照会申出書の調査に1カ月半、とあわせて老齢年金の審査に日本であれば入金までに通常は3カ月程度必要ですが、日本での受給の場合と違い、日本年金機構本部でも審査・処理がなされますのでその分時間を要することになります。また、日本年金機構本部で相手国期間を確認する場合であればさらに時間を要しますので、半年ほど若しくはそれ以上かかることになるとお考え下さい(遺族年金でも同様です。)。

 また審査が終わり、ご指定いただいた金融機関へのお口座への入金までの送金手続きにも、幾日か時間を要します。初回の支払いに限り、奇数月にも入金処理が行われます。2回目以降の支払いは2か月に1回偶数月に行われます。偶数月であっても奇数月であっても年金の支払日は毎月15日(土日祝日の関係で前後する場合があります。)前後が支払日になりますが、海外への送金処理は支払日当日になされます。ご自身のお口座への入金までにどのくらいのお時間がかかるかは居住されている国の状況によります。

Q.年金手帳をなくしてしまいましたが年金を受け取れますか?

A.ご自身の記録であることが確認できれば年金手帳がなくても受給手続きは問題なく行っていただけます。

Q.合算対象期間(カラ期間)とは何ですか?

A.合算対象期間は、主に「国民年金に任意加入しなかった期間」、「被保険者から除かれていた方(適用除外期間)」や「基礎年金拠出金の拠出対象とならなかった期間」と大きく3種類があります。

 合算対象期間は、年金を受け取るために必要な保険料納付済期間や保険料免除期間だけでは受給資格期間(10年または25年)を満たせないときに、老齢基礎年金の年金額の計算の対象にはなりませんが、受給資格期間として計算される期間です。

Q.合算対象期間(カラ期間)はどのように確認しますか?

A.海外在住期間の合算対象期間を年金請求の際に届け出る場合は通常、戸籍の附票を添付書類として使います。この戸籍の附票とは、日本国内の住民票の異動が記されているものですので、海外に出国される際に住民票に届けておられることが確認できるからです。

住民票を異動せずに出国しておられた等戸籍の附票から実際の海外在住期間が確認できない場合は、出入国管理記録やパスポートの出入国記録を使用します。ただし、この2点は、海外在住の期間をすべて証明できない場合があります。

Q.年金は何年分まで遡って受給できますか?

A.年金の時効は5年ですので、それより前から年金の受給権があり、本来もらえるはずっだったとしても5年より前の分は原則受給出来ません。ただし、年金記録が新たに見つかった場合であれば、5年以上遡って受給することができます。この場合、5年以上前の分には支払い遅延したことによる加算金も加算されます。受給の際のご相談は是非当所までお寄せください。

Q.国籍を変更しましたが、今まで通り年金を受給できますか?

A.今まで通り受給できます。氏名等の変更があればお届が必要になります。

Q.日本の年金が在住している国の口座へ送金される際、受け取りまでの手数料は?

A. 日本の年金の海外送金時の手数料は日本国内ではかかりません。日本の公的年金(国民年金・厚生年金)の年金支払い銀行手数料は日本銀行が負担することとなっており、日本の送金元金融機関が年金から支払い銀行手数料を差し引くことはありません。ただし、在住しておられる国に年金が渡ってからはご自身の口座に入金されるまでにいくつかの金融機関を経由します。在住しておられる国の金融機関ではそれぞれ手数料がかかる可能性があります。どこでいくらの手数料がかかっているのかは個別に問い合わせていただく必要があります。

Q.海外に移住する場合、引き続き日本国内の金融機関で受け取れますか?

A.引き続き日本国内の金融機関で受け取ることができますが、郵便局はご指定いただけません。

Q.国内居住者が海外の金融機関で受け取ることはできますか?

A.できません。ただし、金融機関一覧等に記載された海外の金融機関の日本支店であれば受け取り可能です。

Q.居住国でない国の金融機関で受け取れますか?

A.居住国ごとに送金通貨が設定されているため、居住国内の金融機関の指定が必要となります。(日本国内の金融機関に口座があるのであればそちらには入金可能ですので居住されていなくても受け取りできます。)

Q.海外在住の未支給請求者は、国内の金融機関で受け取りができますか? 

 海外在住者に支給される未支給年金は、日本国内の金融機関に振り込みできないため、海外の金融機関を指定する必要があります。

※未支給請求とは、一定の範囲のご親族が亡くなられた際、ご遺族に、亡くなられた方の死亡月までの年金を一括でお受け取りいただく請求手続きです。

Q.海外の金融機関で年金を受け取る場合、日本円での送金はできますか?

A.年金受給者が希望する通貨による送金は行われていません。日本円を希望する場合は、日本国内の金融機関の指定が必要となります。

Q.外国通貨で年金を受け取る場合、いつのレートで計算されていますか?

A.送金日の午前のレートで計算されます。海外への送金は、年金支払日当日に送金手続きが行われます(送金処理に一定の日数を要します。)。基礎年金(国民年金)と厚生年金は別々に送金されますので、送金日が若干ずれることがあります。

Q.ブラジルの銀行で受け取る手続きをしましたが、記帳しても振込みが確認できないのはなぜですか?

 一部のブラジル銀行では、指定の口座に振り込まれず、窓口で本人確認を行ったうえで口座に入金されます。

 また、3カ月経過すると「受取人からの連絡なし」との理由で資金が返却されるため、速やかに窓口で確認してください。

Q.現況届とは何ですか?

A.現況届とは年に一度、お誕生月に受給者様の生存確認をするための書類です。現在日本国内では、住民票の情報と日本年金機構の管理する年金記録の情報が結びついていれば、住民票で生存確認を行うようになっていますが、海外に在住されている場合は、お誕生月の前月末に日本年金機構から発送される現況届の様式に必要事項をご記入いただき、在留証明書(日本語訳が必要です。)を添付し、お誕生月の末日までに日本年金機構にご提出いただく必要があります。

Q.現況届の提出が遅れた場合や提出しなかった場合どうなりますか?

A.年金の支給が停止されます。

Q.海外在住の障害年金受給者の現況届にはどういったものが必要ですか?

A.上記で述べました年一回の生存確認のための現況届の他に、何年かに一回現況届とあわせて診断書をご提出いただく場合があります。診断書のご提出が必要かどうかは年金の裁定時に年金の等級とともに決まります。例えば「2級の3年有期」と裁定されれば、2年間は生存確認のみですが、3年後のお誕生月には生存確認書類とあわせて診断書の提出が求められます(様式はお誕生月の3カ月前頃にご自宅に届きます)。これにより状態が変わっていないかを確認し、必要と判断されれば等級の変更がなされます。また次は何年後に診断書を確認するのかの変更もされることがあります。一方、裁定時に永久認定とされていれば終生その等級の年金を生存確認書類のみ毎年提出することによって受け取ることができます。当所では診断書の翻訳(英語→日本語)も承っております。翻訳は原則医師に依頼いたしますのでご安心下さい。

Q.現況届の診断書によって等級が変更になりました。受け取る金額はいつから変わりますか?

A.増額改定の場合はお誕生月の末日の属する月の翌月分から改定、減額改定の場合はお誕生月の末日の翌日から起算して3カ月を経過した日の属する月分から改定になります。つまり、減額改定の例としましては1月末がお誕生月の末日であった場合、5月分から減額ということになります。また、障害の等級に該当しないと確認された場合は、お誕生月の末日の翌日から起算して3カ月を経過した日の属する月分から年金額が支給停止されます。

Q.海外移住後、海外在住者の日本の年金の任意加入とはどのようなものですか?

A.海外在住者の任意加入の制度があるのは国民年金です。国民年金は、日本国内に居住している20歳以上60歳未満の全ての国民が対象となる制度ですが、海外に移住する場合、強制加入の対象ではなくなります。しかし、日本国籍を持つ方であれば、任意加入という形で引き続き国民年金に加入することが可能です。この任意加入を行い保険料を払い続けることで将来的な年金の増額をすることができます。

Q.任意加入をする場合の手続きには何が必要ですか?

A.任意加入を希望する場合には「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を日本年金機構に提出します。手続き窓口は、現在の状況によって異なります。

Q.任意加入の手続きをする窓口はどこですか?

A.

1. これから海外に転出する方
居住地の市区町村窓口で手続きを行います。

2. すでに海外に居住している方
国内に協力者がいる場合は、日本における最後の住所地を管轄する市区町村窓口で手続きを行います。 国内に協力者がいない場合は、日本に住んだことがある方は、最後の住所地を管轄する年金事務所で手続きを行います。日本に住んだことがない方は、千代田年金事務所が手続き窓口となります。

Q.任意加入した場合の保険料の納付方法はどのようになっていますか?

A.任意加入後、保険料の納付方法は、国内にいる協力者が納付を代行する方法と、日本国内に開設された預貯金口座からの引き落としがあります。さらに、クレジットカードを利用して納付する方法も選択可能です。

Q.任意加入者も付加年金を納めることができますか?

A.任意加入者も付加保険料を納めることで、将来受け取る年金額を増やすことができます。この付加保険は月額400円を本体保険料にプラスして納めることで、将来基礎年金(国民年金)を受給する際には月額200円が本体の受給額に上乗せでもらえるというものです。大変お得な制度ですので任意加入される際は是非ご加入いただくことをおすすめいたします。

Q.任意加入をした場合、免除申請はできますか?

A.国民年金に任意加入している方は、保険料の免除や納付猶予、学生納付特例の申請はできませんのでご理解ください。

Q.海外在住者が国民年金に任意加入するメリットは何ですか?

A.任意加入の最大のメリットは、将来的により多くの国民年金を受給できるようになることです。任意加入によって保険料を納めることで、より多くの老齢基礎年金を受け取ることが可能となり、また、海外在住の方々にとっては、死亡時や障害を負った場合にはより多くの遺族年金や障害年金が支給されることにつながります。

Q.海外在住者が国民年金に任意加入する際に注意すべきことは何ですか?

A.任意加入中、保険料の納付が滞り未納となることによって、年金の受給資格が失われてしまう場合があります。社会保障協定を締結している国に在住されている場合、海外在住の合算対象期間(カラ期間)を使っていれば受給出来た年金が任意加入をしていて保険料の納付を滞らせたことにより年金が受給できなくなってしまうことがあります。また、社会保障協定を締結されていない国に在住されている場合は任意加入・納付がなければ遺族年金や障害年金を受けられないこともあります。それぞれのご事情により異なってまいりますので、ご自身の場合がどうなのかということにつきましてのご相談は、日本年金機構若しくは松田社会保険労務士事務所までご連絡ください。

Q.任意加入者が帰国した場合の手続きは?

A.任意加入者が帰国し、日本国内に住所を有することになった場合は、再度国民年金の強制加入被保険者となります。この際には、転入先の市区町村役場で強制加入の手続きを行う必要があります。

一時帰国などで短期間だけ国内に住所を有した場合も、その期間は強制加入被保険者となるため手続きが必要です。任意加入時に付加保険料や口座振替を申し出ていた方も、帰国後も継続を希望する場合、強制加入の手続き時に再度申出を行う必要があります。

CONCERNS

こんなお悩みございませんか?

海外在住の方々のこんなお悩みに対応いたします。

  • 年金の受け取りが可能か確認したい。
  • 海外在住のため時差等があり、日本の年金手続がうまく進められない。
  • 年金記録の確認やカラ期間を含む年金請求の方法がわからない。
  • 日本に帰国する際の時間を年金手続きにとられたくない。
  • 海外移住後、日本の年金を引き続き受け取りたいが、どのように手続きしたらよいかがわからない。
  • 外国籍を取得したが、日本の年金の受け取りについて相談できる人がいない。
  • 日本の年金の情報を得たい。

このようなお悩みがあれば、松田社会保険労務士事務所にお任せ下さい。年金記録の確認や請求手続きの代行、帰国後の年金手続きのサポートなど、年金のことならどんなことでもご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

無料相談の流れ

1. お問い合わせ  

海外移住や海外在住中の年金受給に関して、お困りのことがあれば、お電話またはメールにていつでもご連絡ください。メールでのお問い合わせには24時間以内に対応させていただきます。

2. 面談日の調整

面談をご希望の場合、お客様のご都合と調整させていただきます。面談ご希望でなければメールや電話のやり取りでご相談を進めさせていただくことも可能です。

3. 面談もしくはその他の方法でのご相談

ご相談時には、お客様の状況を詳しくお伺いし、それに応じた解決策をご提案させていただきます。また、ご相談にお伺いしました内容等、お客様の個人情報についての取り扱いは厳重に管理・保護しておりますので安心してご相談下さい。

手続きにつきましては、進捗をメール等でお知らせし、迅速で丁寧な処理を行うよう努めさせていただきます。松田社会保険労務士事務所では海外在住の方々の年金受け取りに関するあらゆる手続きについて丁寧にしっかりとサポートしてまいります。

海外在住の方々の年金受給について

 海外に在住されている方々は、普段日本国内のように日常の暮らしの中で日本の年金の情報が得られないことも多いと思われます。しかしながら最近はいろいろな媒体でご自身で調べていただくことによって情報を得ることが可能になり、ひと昔前ほど情報を得ることにご苦労なさることは少なくなったかもしれません。ご自身でお調べになり手続きされることも可能ですが、時間を他のことに使いたい、時差等による不自由から手続きを依頼したい等のお考えにより手続きをご依頼いただく場合には、ぜひ当所にご連絡ください。